神社の注連縄と、勧請縄の違いを述べるのは難しい。神社の
注連縄は神域の境界で、穢れ無き聖域を結界している。【
古事記】において、岩屋戸から天照大御神を引き出した後、布刀玉命が岩屋戸を「
尻くめ縄」で封印するシーンが出るが、この
封印した縄が注連縄の起源と云われる。注連縄は神社だけでなく、お正月には玄関に
注連飾りとして
期間限定で民家にも付けられる。これは神域というより、お正月に訪れる
歳神様を勧請する依代である。歳神様は穀霊ということで考えるならお正月の注連飾りも勧請縄とは共通性が強い。
勧請縄の勧請とは、
山ノ神・田ノ神を勧請する縄という意味である。しかし民家の注連飾りと勧請縄が違う点は、期間限定ではなく
通年で魔物の侵入を遮る道祖神的・塞神的な意味合いがあることだろう。そして面白いのは、例えば湖南市石部町において
勧請縄吊り行事が「
オコナイ」として行われている点である。石部町の「
オコナイ」は未見なので、本(
※)を参考にすると、常楽寺で僧侶が読経をして勧請縄吊りを行うようである。「
オコナイ」は民間修正会・修二会であるから、古い形式を保っている場合は寺院で行われるのだ。勧請縄は注連縄から派生したモノかと思うのだが、今でも必ずしも神式の行事として扱われていない点に
神仏習合時代の名残が見られる。
添付写真は滋賀県東近江市中小路町の勧請縄の、呪符のアップ写真である。
十二光仏の名前が記載してある点が注目である。無量光佛・歓喜光佛・智慧光佛・不断光佛・日月光佛などなど、、、。
十二光仏とは、阿弥陀仏の光明を十二種の功徳に分けて、それぞれに命名した阿弥陀如来の異称だという。神を勧請するはずが、仏に祈祷する、、、まったく習合的で面白い。
(
※)中島誠一・宇野日出生【
神々の酒肴 湖国の神饌】思文閣出版、¥3200+税
(
添付写真は今月27日撮影、滋賀県東近江市中小路町;Nikon D300+VR18-200mm)
by
HP【舞!組曲】www.photoland-aris.com/myanmar/
posted by gagaku at 20:49|
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勧請縄
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