2020年03月06日

上朝宮の 宝篋印塔

上朝宮(滋賀県甲賀市信楽町)の 細い山道を走って
いて、路傍に立派な 宝篋印塔 を見かけた。
残念ながら相輪は後補だが、それ以外は完存かと
思える。まず目を引いたのは塔身の四方仏である。
風化しているが、種子ではなく肉厚に浮き出た仏様
を拝することができる。そして隅飾突起は僅かに
外側に傾斜が見られるものの、輪郭が微かに残って
ニ弧の装飾状である。基礎にはやはり風化してはっきり
しないが、反花座のようにも見える。
前記したように相輪の欠損は惜しいが、それでも優雅
で落ち着いた雰囲気の美しい宝篋印塔だ。
近江には集落に一基は宝篋印塔が残存していたりする。
このように路傍だったり、神社や寺院境内、または
移動されたのか公園の片隅だったりする。それらの
うち、完存は稀なれど、石造美術としてでなく、それら
は墓石であったり供養塔であったり、または集落民の
浄土への希求の祈りの対象だったりと、昔の人々の
心の中の祈りの凝縮した塊であるのが宝篋印塔なのだ。
過ぎ去った時間、つまり過去に実在した人々の証の
一つでもあるのだ。
この宝篋印塔の造塔時代は、鎌倉時代末期頃と思われる。

by HP【舞!組曲】www.photoland-ari.com/myanmar/

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posted by gagaku at 21:34| 石造美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする