昼間は長浜駅隣接の 伊吹山珈琲店 で のんびり読書し、
合間に「 SL北びわこ号 」の撮影。
そして夜が 長濱八幡宮さんの秋季例祭における
奉納薪能の鑑賞と撮影である。
昨夜の曲は、【 清経 】。
武将の能、いわゆる修羅物(二番目物)でも
勝ち戦を素材に扱った“勝ち修羅”に対して、
【清経】は負け戦の武将の“負け修羅”である。
清経は平清盛の孫で、平家全盛時代に育った
御曹司である。頼朝の再起により源氏方によって
西国に落ちていくまで、戦知らずの貴族であった。
平家一門が壇ノ浦で滅亡するころ、清経は
行く末に絶望して豊前国柳が浦にて入水自死する。
形見の遺髪を持った家臣(ワキ)が京の清経の
妻(ツレ)の元を訪ねて事の次第を話す。
家臣も去った或る夜のこと、妻の夢枕に亡霊と
なった清経(シテ)が現れる。
妻は 清経が生きて戻らなかったことを嘆き、
戦うことなく自殺を選んだ不甲斐なさに恨み言
まで述べる。清経は追い詰められた苦しい様や
生への未練、妻への懺悔の気持ちなどを
述べながらも、戦さ物語を語り、そして十念を
唱えた功徳で成仏できることを語り、消えていく。
京に置いて行った妻の元に、亡霊となっても
戻りたかった情念と未練が物悲しいながらも
強く生きることへの希求を感じさせる悲しい
能の名曲である。
ワキ柱で鎮座するはずのワキ(家臣)は早々と
舞台を去り、ワキ柱にはツレである清経の妻が
鎮座する。清経の妻が見ている幻、あるいは
夢枕の世界を我々は第三者として観ているので
ある。
添付写真は、その清経の妻(左側)の前に現れた
清経の亡霊。
※詳細はそのうちに HP にて。
能【清経】(観世流にて)シテ、古橋正邦
@ 長濱八幡宮 能舞台 ;秋季例祭奉納薪能
by HP【舞!組曲】www.photoland-ris.com/myanmar/
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