( 1月29日、日曜日、21時00分〜23時00分 放送 )
( TV画面をそのまんま写しUPは不可なので、その
番組を鑑賞しながら茶を飲んでいる という感じの
室内の情景写真として UP。)
厳島神社の能舞台における観月能である。演目名を
見た時は、チョイ失望した。『羽衣』。能楽堂における
定例能などと違い、イベント色の強い薪能などでは
能のファン以外にも初めて能を鑑賞する人にも“受け”
易い曲が選ばれることが多いからだ。たしかに『羽衣』
は名曲だが秋の季節の曲でないのに、分かり易さで
選ばれたように思ったのだ。 だがっ、天女が登場した
途端に誤解であることが判った。 厳島神社での観月能、
満月に近く舞台の最中に満潮になる日を選ばれて開催と
いう計算された日時ゆえ、曲の最中に最大の潮位となって
舞台下 約60センチくらいまで海面が迫ってきており、能
舞台が海面に浮かんだ浮島のよう。そんな驚くべき舞台は
海上に設置された照明が波に当たり、その反射が鏡板の
上の方と天上に当たって揺らめく。その光の揺らめきは
シテ(天女)の胸の上に主に当たって鳳凰天冠が煌めく。
その様は正に天上の如しである。おまけに天女の長絹は
紅地で、遠目にも浮かび上がって見えるのだ。まさしく
異界の如く夢、幻の情景だ。この揺らめきに『羽衣』は
ふさわしい。
なお厳島観月能と紀州徳川家版、大鼓において亀井広忠
亀井忠雄の親子の両師を拝聴できたのも、嬉しかった。
(シテは喜多流の師であられた。拙者の宝生流とかなり
異なるので、謡は異質に聴こえたが仕方ない。)
厳島神社能舞台は5つ重文に指定された内の一つで、現在
の舞台は延宝8(1680)年の建築という。
厳島神社観月能は今年で20回目。喜多流シテ方の友枝昭世
師が中心となって行われている。
開催は知っていても観月能には 未訪問であるし、映像を
観るのも初めてであったが、たちまち虜になってしまった。
ただし開催は週末とはならず、なかなか平日では訪問が
難しいのが残念である。でもいつの日には訪れたいものだ。
Eテレ;古典芸能への招待「厳島観月能・紀州徳川家版
“石橋”」
(1)厳島観月能から能「羽衣」・半能「高砂」/
出演;友枝昭世・森常好ら/2016年10月14日
(2)紀州徳川家版「石橋」
出演;香川靖嗣・宝生欣哉ら/2016年2月・喜多能楽堂
by HP【舞!組曲】www.photoland-aris.com/myanmar/
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