滋賀県東近江市寺町の天神神社の勧請縄には、「蘇民将来子孫」の護符の付いた勧請縄が掛かっていた。「蘇民将来子孫」の護符であるが・・・
陰陽道系の疫神で、日本に入ってきて須佐之男命と習合している「牛頭天王」が竜宮への途中で巨旦将来という裕福な弟と、貧しい蘇民将来という兄に宿を頼んだ話に由来している。拒絶した弟は殺され、兄は宿を貸したため、牛頭天王は兄の蘇民将来の子孫を疫病から守る約束をしたという。夏・冬に神社で行われる「茅の輪くぐり」こそ、その疫病から逃れるための秘法であり、民間宗教的には家の神として疫神が玄関から侵入して来ないように「蘇民将来子孫」の護符を玄関に掛ける例が見られる。これは今日でも伊勢市内で盛んで、その様子は拙HPにUPしてある↓URL。
http://www.photoland-aris.com/myanmar/near/5/
全国の神社で行われる茅の輪くぐり は、蘇民将来子孫の護符を外すことで「茅」の霊力で清め祓いをする行事となっている。しかし添付写真の場合、八坂神社の御祭神にも関係する「蘇民将来子孫」護符が神社の御祭神とは関係ない天神神社に掛かっているのがミソである(疫神という共通性はあるけど)。蘇民将来の呪い(まじない)を使っているのである。考えてみれば「道切り・辻切り」するタイプの勧請縄は「茅の輪」の一種の変形と思えなくも無い。しかし添付写真のような吊るすタイプは、先月29日五智町の勧請縄でも記したように、道祖神的な塞ノ神的な勧請縄に思える。外見だけでなく、内容的にも勧請縄はいろいろ有りそうで面白い。
(先月27日、滋賀県東近江市で撮影;Nikon D300+VR18-200mm)
by HP【舞!組曲】www.photoland-aris.com/myanmar/
2008年02月18日
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興味深いですね。勧請注連縄は、隣の村から疫病などが入り込まないようにという願を込めた注連縄で、そこに蘇民将来の護符が加わるのは、納得がいくものです。
しかし、天神神社にもといえば怨霊との関わりが入るのでしょうか?
神仏は複雑で、民間信仰はさらに様々複雑で、如何したらいいものか知識貧しきものは困ります。
>天神神社にもといえば怨霊との関わりが入るのでしょうか?
天神様が天津神様というなら違いますが、
一般には菅原道真を指している御霊信仰のご祭神です。九州に左遷されて頓死し、朝廷を恨んで祟った大怨霊です。この怨霊鎮めの神社が一般的な天満宮です。