諸木神社(滋賀県蒲生郡日野町)の境内と参道の境目に、添付写真のような勧請縄があった。先日、拙Blogで東近江市妙法寺町の勧請縄をUPしたが、このケースは神社における勧請縄である。妙法寺町の場合は、集落内に魔障が入り込まないようにする呪術的防塞装置として集落内外の境界にあたる道を結界していた。このように集落を防御する場合と、社寺を防御する場合とあるようである。この諸木神社の場合は、注連縄の付いた鳥居も立っており、それに加えて勧請縄が有るのだ。これは非常に面白い。なぜなら、ならば鳥居とは何か?という疑問に発展するからである。勧請縄を神社へ入り込む悪霊・邪霊など魔障を防ぐ装置と考えるこの地域の氏子さん達にとって、鳥居だけでは心もとないのか?鳥居とは神社を守る装置ではないのか?あるいは鳥居とは神様の在ます聖域の標識としか、この地域では考えられていないのか?鳥居の起源や語源には諸説あって、とてもここでは述べられない。なれど興味深い一般的な説がある。参拝者が鳥居をくぐるとは、頭を下げてくぐる礼儀によって一種の簡易な禊をしているというのだ(※稲田智宏【鳥居】光文社新書)。この説によれば、鳥居は一種の浄化装置であると云えよう。このような浄化装置ならば、鳥居から中に悪霊など魔障が入り込む余地は無いように思えるのだが、、。湖東・湖西地区に勧請縄が多いのは、一種独特な地域民俗(民間)宗教観に基づいている。地域といえば、京都に近い。京都では都内に跳梁跋扈する魑魅魍魎な邪霊を、盛んに攘する祭事が多い。神経質過ぎる程であるが、このような潔癖症にも思える邪霊を恐れる心理が都に近いこの地に伝わり、この地でも集落や神社を守ろうという呪術的装置を勧請縄として開発したのかもしれない。むろん私の想像であるが。
添付写真では○にペケが勧請縄に中央に付いている。しかし吊るされた当初は樒や榊で周りが覆われていたようで、欠片が残存付着している。
今月から来月にかけて、近江では「勧請縄吊り」や「おこない」という民間(民俗)宗教行事が多い。またまた撮影に忙しくなりそうだ。(添付写真は先月29日撮影; Nikon D300+VR18-200mm)
by HP【舞!組曲】www.photoland-aris.com/myanmar/
2008年01月05日
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綺麗でしょ。でも樒や榊が付いた状態だと、
クリスマスの飾りのよう(汗)でもっと綺麗かも。また新鮮なうちに狙いたいです。
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<不肖・還城楽様 どうもです!
>飛鳥川の稲淵、栢森の勧請縄
知ってます。が、もうちょっとマイナーな勧請縄から狙っていきます。この近江付近の縄から探していくつもりです。